今回は、はちぶせの里の次世代を担う存在として期待される、中島・前田・山路の3名の職員に当法人のよいところ、課題、それに向けての今後の展望について語り合っていただきました。
共に学び高め合う充実の研修体制と、部署や世代を越えて通い合う温かな心の距離
― はちぶせの里(関寿会)で働いていて「ここは良いな」と感じる点について、職員の視点と利用者さんの視点の両面からお聞きしたいと思います。
中島:私はまず、「職員が学び続けられる環境」が非常に整っている点ですね。外部研修への参加はもちろんですが、法人内や部署内でも職員同士で教え合う機会がとても多いんです。例えば、誰かが研修を受けたら、今度はその人が講師となって他の職員に内容を伝達する勉強会を開きます。そこで「あの時はこうだったね」とケアの振り返りをすることで、自分自身の接し方を見つめ直す良い機会になっています。
― なるほど。勉強会が多いと少し「大変そう」というイメージもありますが、現場ではどう捉えられているんでしょうか?
中島:正直、報告書などの事務作業は大変な面もありますが(笑)、それ以上に「客観的な視点を持てること」のメリットが大きいです。一人で悩むのではなく、同僚と「もっとこうした方がいいんじゃない?」と意見を出し合えるので、自分自身の改善に繋がりますし、それが結果的に利用者さんへのより良いケアに結びついていると実感しています。
前田:僕は「部署を越えた人間関係の広がり」が魅力だと思っています。特に12月に行われる忘年会は印象的です。法人全体で3日間ほどに分けて開催されるのですが、特養やグループホームなど、普段は別の拠点で働く人たちとも交流できるんです。
― 違う部署の方とは、どんなお話をされるんですか?
前田:仕事の堅苦しい相談というよりは、「最近どこかへ出かけた」とか「家族のこと」とか、本当に些細な日常会話です。でも、そうやって僕からグイグイ話しかけに行っても、先輩たちが気さくに応えてくれる。年齢層は幅広いですが、世代に関係なく話しやすい、壁のない雰囲気があるのは、この法人の強みだと思います。
山路:私のいる小規模多機能型居宅介護の現場では、「家庭的な安心感」が一番の特徴です。建物自体が一般の家のような造りで、利用者さんが「施設に来た」と身構えるのではなく、「ちょっとお手伝いに来た」と思えるような雰囲気作りを大切にしています。
― 利用者さんが「お手伝いに来た」と感じる、というのは興味深いですね。
山路:はい。例えば、調理は職員が担当しますが、利用者さんには盛り付けや洗い物、台拭きなど、その方の得意なことをお願いしています。肉じゃがを作る工程をしっかり覚えておられる方もいて、「味見してみて」と頼んだり。単に「ケアをしてもらう」だけだと、利用者さんも申し訳なさを感じて元気が出ないことがありますが、「誰かの役に立っている」という役割があることで、表情がパッと明るくなるんです。
中島:グループホームも同じです。認知症があっても、体が覚えていることはたくさんあります。職員よりも包丁さばきが上手な女性の利用者さんに野菜を切ってもらったり、洗濯物を一緒に干したり。現場の裁量で、「この人にはこれができるはず」と話し合い、一人ひとりに合わせた「生活の場」を作れる自由度があるのも、働いていてやりがいを感じる部分ですね。
地域との『疎遠』や施設の壁を越えて。より良い処遇と、誰もが気軽に来られる仕組み作り
― 良い点がある一方で、より良くしていくために「ここは課題だな」と感じる部分はありますか?
前田:率直な意見として、介護業界全体に言えることかもしれませんが、給与面などの処遇がさらに向上することは、職員のモチベーション維持において大切だと感じています。有給休暇は希望通りに取りやすい環境にあり、ワークライフバランスは保てていますが、そこが底上げされれば、もっと若い世代が定着しやすくなると思います。
山路:私は子育て世代として、「働く環境のさらなる整備」を挙げたいです。今は理解があって子どもを職場に連れてきても良いと言ってもらえていますが、やはり現場で子どもを見ながら仕事をするのは、他の職員への気遣いや、利用者さんへの安全面でも限界があります。以前のように託児機能がしっかり整備されれば、パパ・ママ職員がもっと仕事に集中しやすくなるのでは、と考えています。
― 環境面での課題ですね。他に、サービスや地域との関わりではいかがでしょうか?
山路:「拠点間の交流不足」ですね。小規模多機能は他の拠点から少し離れているため、本館で行われる大きなイベントなどに利用者さんと一緒に参加するのが物理的に難しいことがあります。せっかく同じ法人内にいろんな拠点や機能があるのに、利用者さん同士が交流する機会が少ないのはもったいないと感じています。
中島:私も同じ「距離」という点に課題を感じています。特にこの地域は、「車がないとどこへも行けない」という物理的な制約が、地域や家族との繋がりを遮ってしまっています。
― 具体的にはどのような状況が起きているのでしょうか?
中島:例えば、長年ボランティアに来てくださっていた方や、ご家族、利用者さんの同級生の方々も高齢化し、「免許を返納したから会いに行けない」「運転が怖いから足が遠のく」という声が増えています。昔は祭りのたびに来てくれた近所の人たちと、施設に入った途端に疎遠になってしまう。法人として、もっと積極的に外と繋がる仕組みを作っていかないと、孤立が進んでしまうんではないかという危機感を感じています。
山路:あと、利用者さんやご家族の中に根強くある「施設へのネガティブなイメージ」も課題です。どうしても「衰えたから入れられる場所」「こんなところに来たくなかった」と思われてしまいます。そうした偏見や心理的な壁をどう取り払っていくかが、私たちに課せられた大きな宿題だと思います。
最期まで過ごしたい『家』のような場所へ。地域に笑顔の花が舞う明るい未来を
― 課題を踏まえて、これから「はちぶせの里」をどんな場所にしていきたいか、未来のビジョンをお聞かせください。
中島:私は、先ほど言った「疎遠を減らす仕組み」を具体化していきたいです。例えば、法人でマイクロバスを運行して、定期的に地域の方やボランティアさんを迎えに行く日を作るとか・・・。そうすれば、「あのバスに乗れば知り合いに会いに行ける」という流れができます。
― 外出の機会も増えそうですね。
中島:はい。利用者さんも外の空気に触れることで活気が出ますし、何より将来の入居候補の方々に、普段から施設の中を見てもらえる機会になります。知り合いが楽しそうに過ごしている姿を日常的に見ていれば、いざ自分が入る時も「あの場所なら安心だ」と違和感なく移行できると思います。
山路:本当にそう思います。「こんなところ」ではなく、「私が最期まで過ごしたい家なんだ」と思ってもらえる場所にしたいです。以前、ご近所の仲良しだった利用者さん同士を面会させたことがあるのですが、その時の笑顔が本当に素晴らしくて。お互いの顔を見た瞬間に、気持ちも表情もパッと明るくなって、まるで「お花がパァっと舞うような笑顔」になられたんです。
― 素敵な表現ですね。その笑顔が未来のキーワードになりそうですね。
山路:はい。知り合いに会う、誰かの役に立つ。そんな小さな「喜び」の積み重ねが、利用者さんの生きる力になります。そんな交流が当たり前にある法人にしていきたいです。
前田:そのためにも、最後はやっぱり「職員自身が心から楽しめる場所」でありたいですね。僕たちが家族のように仲良く、気兼ねなく、且つプロとしての楽しみを見出しながら働いていれば、そのポジティブな空気は必ず利用者さんにも伝わると思います。
中島:そうですね。学び続け、繋がり続け、地域全体に安心を届けられる法人。みんなで力を合わせて、そんな「はちぶせの里」の未来を創っていきたいですね。






