西谷 文吾

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家族だけではケアができない人たちへの関わりの可能性をもっと見出していきたい

この法人で働く前は、ホテルマンをしていましたが、ホテルも介護もサービス業なので、これまでの経験を活かせるのではないかと思い就職しました。すでに16年の年月が経ちましたが、7年間はスタッフとして、その後はリーダー、現在はチーフとなりマネジメントをしています。チーフという仕事は、これまでにない役職なので、何をするのか、どこまでして良いのかなど具体的なマニュアルもなく、日々、自分で考え、試行錯誤しながらの毎日でした。リーダーの時は利用者さんやメンバーのことだけを考えていたので、この施設が良い施設・職場になることだけを考えていました。しかし、チーフになってからは、利用者さんのご家族との関わり、また、他の事業所の皆さん、他業種の人たちとの関わりが増え、一気に視野が広がったと思います。特に、地域や在宅という視点において、家族だけではケアができない、自宅がケアできる環境にないことなどを知り、介護の仕事が大変だと言っても、私たちは1日8時間の仕事であり、他のスタッフと一緒にケアができることを考えれば、もっと様々なことができるのではないかという風にとらえられるようになりました。

メンバー自身の意思を大切にし、自発的に取り組めるように働きかけていきたい

私は、個々のメンバーとのコミュニケーションにおいて考え方や方法について一つに決めないことを心掛けています。例えば、アドバイスひとつをとっても、できるだけ選択肢を提示し、自分で考えてもらう機会を提供するようにしています。また、言葉を安易に使わないことも心掛けています。10年ほど前に、約5週間にわたる認知症介護指導者の研修を兵庫県から推薦頂き、参加した時に学びました。使う言葉が適切かどうか、なぜこの言葉を使うのかなど、他者との関係性を意識して使うということを意識するようになりました。そして、仕事以外の話もするように心がけています。仕事の話題ばかりだと窮屈になってしまいがちなので、それ以外の話も大切にしています。特に、指導する立場になってからは、メンバーの内発的動機を意識するようになりました。〇〇したい、〇〇した方が良いといったメンバー自身の意思を大切にし、介護の仕事に自発的に取り組めるような関わり、働きかけをすることを大切にしています。

プロとして仕事をし、「もっとこうしてほしい」と普通に言ってもらえるような仕事にしていきたい

私が今後チャレンジしていきたいことは、「介護」が必要以上に「ありがとう」と言われる仕事ではないようにしていきたいです。「大変ですね」「みなさんがいるから助かっています」等の労いの言葉をかけられることは多く、そのことにはたいへん有難い気持ちです。ただ、利用者さんやご家族が介護してもらっていることに気を使われ、遠慮されている気持ちが前提であることも否めないと感じています。他の職業であれば言われるようなクレームも当たり前になるように、私たちもプロとして仕事をし、「専門職だからもっとこうしてほしい」と普通に言ってもらえるような仕事にしていきたいと思っています。テレビのニュースなどで介護施設の事件などが良く取り上げられ、良くない職業、職場のイメージを持たれがちであるが、介護の仕事に楽しみを見出し、日々、充実感を持って働いている人が多いことももっと世間に知ってもらえる機会をどんどん作っていきたいとも思っています。

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