上垣玲奈

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「天職やねえ、よくやっているよ」と母が認めてくれた介護の仕事に巡り合えた私の幸運

私が介護の仕事に就くきっかけとなったのは、高校生の頃、祖父が病気になった時期と重なったことが大きいと思います。一人暮らしをしていた祖父の家に母と二人でよく手伝いに行きましたが、介護をすることができず、結果的に施設で生活することになりました。その時に、そこで働く人たちを見て、介護の仕事に就きたいと思うようになりました。介護の仕事は、世間では大変な仕事で、離職も多いというイメージがあり、母も私が続けているのか心配していましたが、今では、「天職やねえ、よくやってるよ」と喜んでくれています。私がはちぶせの里に就職しようと思ったのは、いくつか訪問した施設の中で、圧倒的に施設の雰囲気が明るく、働いているスタッフの人たちのいきいきとした姿があり、「ここで働きたい!」という気持ちになったことを思い出します。コロナになる前ですが、祖父を交えて月に1度の食事をする際も、私が介護の専門職なので、みんな安心して楽しむことができるようになりました。祖父が私に与えてくれた天職とこの仕事に巡り合えたことを幸運と思っています。

誰に指示されることなく、周りに気遣い合いながら、助け合う仲間と働けることに感謝

私たちの施設では1ユニットを1年間担当します。1年という時間を同じご利用者さんと関わります。誤解を恐れず言いますと、感覚としては自分のおじいちゃん、おばあちゃんと生活を共にし、お手伝いをしているという感じです。もちろん専門職として仕事をしていますが、家族といる感覚という方がしっくりくるくらい、私が癒されることも多々あります。新人の頃、上司に3ヶ月くらいはしんどいと思うが覚悟するように言われましたが、あれから5年経ち、仕事で苦痛を感じたことは一度もありません。高校時代に3年間していたアルバイト先では、「つらい、なみだ、死にたい」という想いの連続だったので、仕事とはつらいものと思っていました。でも、ここで働き「仕事ってこんなに楽しいものなの?」というのが本音です。それは、ここで働く仲間のおかげでもあります。リーダーはスタッフの話に耳を傾け、問題があればすぐに行動に移してくれるので、みんなが一緒に頑張ろうという気持ちで働いています。2つのユニットがあり、それぞれ担当が違いますが、困っている時は、ユニットを越えて、誰に指示されることなく手伝うことが暗黙の了解で、すべてのスタッフが周りに気遣い合いながら、仕事をしています。

限りない創意工夫で、ご利用者さんと一緒に楽しみや喜びに向かえる毎日が介護の仕事の魅力

この仕事の魅力はご利用者さんに喜んでもらう、楽しんでもらうための創意工夫が無限にできることだと思います。以前配属のユニットにいらっしゃったおばあさんのご利用者さんのことですが、ご家族もあまり来られないので、寂しい想いをされていました。爪を噛んだり、タオルの糸を丸めたり、いつもイライラされているようで、精神的にしんどそうな印象がありました。私は、なんとか寂しさを緩和し、できれば寂しい気持ちから解放してあげたいと思いました。そこで、私は、自宅にある人形を順に持っていくようにしました。それをとても、喜んでくれました。特に、ネコの人形がお気に入りで、入浴時も、食事の時もその人形とずっと一緒にいるような状態でした。いつのまにか、精神的に落ち着いてきました。自室でこもって、人に心を開こうとされない方でしたが、次第にいろんなスタッフとも話すようになりました。私は決して正解を知っているわけではありませんし、正解があるとも思っていません。しかし、ご利用者さんと向き合い、どうすればよい方向にいくのだろうということを常に考え、創意工夫をすることで、ご利用者さんと一緒に楽しみや喜びに向かえる毎日を有難いとさえ思います。

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