田中 優子

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未来を見据えて福祉の道へ。理想と現実のギャップに戸惑った新人時代

私は大学時代、福祉の専攻をしていました。高校生の時に進路を考える際に、将来性や資格取得を見据えて福祉の道を選ぶことにしました。大学3年生の時、社会福祉士の資格取得のための実習がありましたが、そこで初めて現場の厳しさを知りました。利用者様と直接関わることは、教科書など本を読んで学ぶ知識だけでは対応できないことばかりでした。特に利用者様への対応の仕方が難しく、最初は本当に戸惑いばかりの日々でした。大学を卒業と同時に地元であるこの地域に戻り、「はちぶせの里」に就職しました。当時はまだ設立3年目ほどの新しい施設でしたが、新卒で就職し一番若かった私は、実習の際の戸惑い同様に、利用者様との関わりだけでなく、職場の人間関係も含めて、社会人として慣れるまでは毎日が緊張の連続だったことを覚えています。はじめはそんな状態でしたが、皆さんに支えていただきながら、こうして18年この職場で働き続けることができています。

一人ひとりに寄り添うコミュニケーションと支え合うチームワークが質の高いケアの基盤

日々の業務で最も大切にしているのは、利用者様とのコミュニケーションです。お一人おひとりの個性や、話したいこと、逆に触れてほしくない話題などを、日々の会話や観察の中から理解するように努めています。口数の少ない方に対しても、無理に話を引き出すのではなく、ただ静かに隣に座って寄り添うなど、それだけでも大切なコミュニケーションの一つだと新人時代に先輩たちから教わりました。また、入浴拒否などケアが難しい場面に直面することも少なくありません。そんな時は、決して一人で無理に対応しようとせず、他のスタッフと情報を共有し、その利用者様が心を開きやすいスタッフに対応をお願いするなど連携を密に取るようにしています。こうした地道な関わりとチームワークを通じて信頼関係を築くことが、質の高いケアの基盤になっていると考えています。

「ありがとう」と笑顔が原動力。職場の支援に感謝しつつ、より良い支援のために学び続けたい

この仕事を続けてきて良かったと感じるのは、利用者様やご家族様から「ありがとう」という言葉をいただいた時、そして利用者様が安心された表情や笑顔を見せてくださった時です。特に、人生の最期をこの施設で迎えられる方の看取りに際し、ご家族様と一緒に穏やかな時間を過ごし、「ここで最期を迎えられて良かった」「ありがとう」と感謝の言葉をいただけた時は、この仕事の責任の重さと、かけがえのない価値を改めて感じます。18年間働いている中で、出産・育児も経験しました。現在も子育て中ですが、子供の急な体調不良などにも快くお休みをいただけて、本当に働きやすい環境です。介護や子育てなど、職員それぞれが抱える事情に対して、この職場では「お互い様」という理解があり、支え合う風土があることに心から感謝しています。今後は、医療や社会制度に関する知識をもっと深め、利用者様にとってより良い支援ができるよう、学び続けていきたいと思っています。

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