身近な介護を見て福祉への扉が開かれ、落ち着いた時間が流れる今の職場と出会う
私が高校生の時、祖父が病気で吸引が必要になり、祖母も脳梗塞で寝たきりの状態でした。祖父の介護を間近で見る機会があり、それが「人の役に立ちたい」「手に職をつけたい」という思いに繋がり、福祉系の大学へ進学するきっかけとなりました。大学では、車椅子などの福祉用具を扱う「福祉産業」を学びました。直接的な介護技術というよりは、福祉を支える産業や経済の仕組みに触れることが多く、これは当時、魚屋を営む実家を継ぐか、産業・経済の道に進むか、それとも福祉の道に進むかで悩んでいた私にとって、視野を広げる良い機会だったと思います。卒業後、大学の就職担当者からの紹介で現在の職場と出会いました。ユニットの明るい雰囲気やスタッフの方々の温かい印象がとても良く、ここで働きたいと強く感じました。私がイメージしていた老人ホームの「せかせかとした忙しい感じ」とは違い、落ち着いた時間が流れていて、スタッフの方々も本当に明るく接してくださったのが印象的でした。
壁にぶつかるも、仲間に支えられ17年。適度な緊張感、バランス感覚を大切にしていきたい
ただ、入職して3ヶ月ほどで一度辞めようと考えた時期もありました。社会人経験の乏しさに、様々なことでギャップを感じていたからです。しかし、先輩や同期といった仲間の存在が大きく、彼らに話を聞いてもらい、時には愚痴をこぼすことで、次第に自分自身の課題解決の糸口が見え、もう一度頑張ってみようという気持ちになりました。それからは17年、やりがいを感じながら働いています。仕事をする上で大切にしているのは、「適度な緊張感」と「責任感」、そして「相手の気持ちに寄り添うこと」です。ご利用者様の命を預かる仕事ですから、常に緊張感は必要ですが、それと同時に心に余裕を持ち、バランスを取ること、広い視野でしっかりと観察し、考えることで質の高いケアに繋がると考えています。また、ユニットの一員として自分の役割を正確に理解して、しっかりと果たし、ご利用者様やご家族の要望に一つでも多く応えられるよう努めています。そして、清潔で快適な環境づくりも大事なので、そうした基本的なことを疎かにしないように心がけています。
失敗も成長の糧に。チームで支え合い、学び続けることで質の高いケアを目指したい
この仕事に就いて17年間、日々成長を実感しています。特に認知症ケアでは、失敗から学ぶことが多くありました。そうした経験を通して、一人ひとりのご利用者様をしっかりと観察し、その方に合ったケアを提供することの重要性を痛感しました。食事介助一つとっても、最初は手探りでしたが、研修を受けたり先輩の技術を見たりする中で、ご利用者様に合わせたタイミングや食べ方があることを学び、少しずつ対応力が向上してきたと感じています。何よりのやりがいは、ご利用者様やご家族からいただく「いつもすまんな」「ありがとう」という温かい言葉です。また、職員同士でも感謝の言葉が自然と飛び交うこの職場は、私にとってかけがえのない場所です。今後の目標は、さらに支援の質を高めていくことです。そのために、最近では自己啓発や経営者の書籍を読み、福祉以外の分野からも知識や考え方を吸収するようにしています。特に、チームプレイや連携、コミュニケーションの大切さを改めて学びました。報連相を徹底し、職種を超えた連携を大切にしながら、ご利用者様にとってより良いケアを提供できるよう、挑戦し続けていきたいです。


