西岡 幸二

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障害があっても、「休まんと出てきてや!」といった利用者さんお声掛けの中で働く喜び

若い頃は介護の仕事には興味がなかったのですが、義姉に勧められて、介護の仕事を始め、それから20年近く経ちました。他の施設で仕事をしていたのですが、椎間板ヘルニアで手術を行いましたが、なかなか良くならず退職をせざるを得なくなりました。手術後、再就職先を探していましたら、はちぶせの里で正職員の募集をしていたので、「ここがいい!」と思い就職することになりました。しかし、入職して半年後に、再手術をすることになり、それ以降、車椅子生活になってしまいました。もう仕事をすることはできないと思い、辞めようと思ったのですが、施設長をはじめ、スタッフの皆さんに支えられて、今日に至ってます。現在は、車いす生活の上に、視力も失い、自分に何ができることがあるだろうかと思うことがありましたが、利用者さんに「西岡さん、こっちやで。」「この中で一番尊敬しているのは、あんたやで。」「休まんと出てきてや。」といったお声掛け頂くことでとても勇気づけられています。私の働きや存在そのものを喜んで頂けて、とても嬉しく、感謝しながら働くことができています。

自分にしかできないこと。会話の中で楽しみを感じてもらい、利用者さんの心のケアをすること

現状の私に対して、施設長から「西岡さんしかできないことがある。それをしてくれたらいい。」と言われ、スタッフの皆さんもそう認識してくれています。私にできることを考えてみると、それは自分から利用者さんに関わって、楽しい時を作ること、そして、自分もまた利用者さんと一緒に楽しむことでした。それができるようにこの施設の仲間の皆さんは私を支えてくれています。自分の身体が不自由になってから気づくことが多く、その中でも一番大切だと感じたのは人との関わりでした。今、私にできることは利用者さんとの会話の中で楽しみを感じてもらい、利用者さんの心のケアをすることだと思っています。会話を盛り上げるように様々な工夫やアプローチをするようにしています。まずは、衣食住の話をすると共通点が見出し易いです。女性だと服装、男性だと仕事の話をすると喜ばれます。利用者さんが話したいことを話してもらい、会話が楽しくなるように合わせていくようにしています。介護の仕事は、人と人との関わりが基本で、自分から関わりを持ち、コミュニケートしていくことが大切です。また、単に話をするだけでなくて、ちょっとしたことを気に掛ける、ちょっとした時に声を掛けることで、利用者さんの安心や楽しみにつながり、私たちのやりがいにつながると思います。

同じ境遇である障害を持つ人たちが介護の仕事ができるという可能性を信じていきたい

全盲で車椅子という重複障害というハンディキャップでありながら、「あんたはそのままでええんよ」「いつも声を掛けてくれてありがとう」、「目が見えない様には見えんわ」と利用者の皆さんに声を掛けて頂いた時に、私が普段から気をつけていることをそのままを褒めて頂けることで、改めてこの仕事に就いて良かった、はちぶせの里で働いて良かったと思えています。同じような境遇の人(身障者・視覚障害)でも介護の仕事ができるということを一緒に考えていくような活動もしていきたいと思います。それは、職場の理解や、周りの職員さんの理解を頂くことも大切なので、職場がどのように協力していくことで、持ち味を活かした働き方が可能なのかといったこと、また、障害を持った人たちの心の持ちようや働き方なども一緒に考えていけたら良いなあと思います。障害があっても、その人の持ち味を活かして働くということはきっとやれると思いますし、思いたいです。こういうメッセージを表現する機会があるのも、利用者さんやここで働く皆さんの支えがあってこそと感謝の想いでいっぱいです。

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