一人ひとりの事情を尊重する職場風土の中で、仕事と家庭の両立ができた15年
私は結婚後、施設で介護の仕事をしていました。しかし、夜勤をしながら子育てをすることに不安を感じるようになっていました。子どもの世話を母親がしてくれており、そのおかげで仕事を続けることはできたのですが、夜勤明けの帰宅時は、ゆっくりと体を休めないといけないと思うのですが、現実的には子育ての時間が必要となり、体を休める時間を作ることが困難で、仕事と生活の両立に難しさを感じていました。そんな時に、自宅の近くにはちぶせの里が開所することを知りました。夜勤のない勤務ができるということを聞き、ここでお世話になることにしました。働き始めてから、もう15年になります。子どもの世話をしてくれていた母も今は亡くなり、子育てもすべて私がするようになりました。一人ひとりの事情を尊重してくれる職場風土や仲間の支えもあり、仕事と家庭との両立を継続できています。
入居者さんのことをよく観て、よく知って、安心で、心地よい生活を送ってもらいたい
私が仕事をする上で大切にしていることは、入居者の方が安心して、心地よい生活が送れるように支援することです。例えば、入居者さんに落ち着きがないと思ったら、そばで話を聞いてあげるといったことをします。「どうしたのかな、普段の生活と少し違うな、怒りっぽいな、興奮しているな」など、よく観察するように心掛けています。そばにいるよりもそっとしておいてあげたほうが良い時はそっと見守るようにしています。毎日、関わっているので、普段との違いはすぐにわかるようになります。心地よい生活を送ってもらうためには、入居時の事前情報を活用して、その人が好きなことを調べておき、アプローチをするようにしています。例えば、歌が好きな人が一人で歌われている時に一緒に歌う、あるいは、手拍子をするなどして一緒に楽しむようにしています。花が好きな人には、散策の際に、咲いている花に近づいて行き、花を楽しめるように小さな気配りを心掛けています。
入居から人生を全うする瞬間まで、湧き出る身内のような思いを持ってできる意味ある仕事
この仕事に就いてよかったと思うのは、入居者さんの入居所当時からご逝去されるまで関わり寄り添うことが出来ることです。初めて来られた時は元気であった入居者さんも、次第に歩けなくなり、寝たきりになり、その後、亡くなられていくのですが、それぞれの人生を全うすることを見届けられた時、身内のような思いが湧き出てきます。入居者さんに一貫して関われることはとても意味のあることで、やりがいに繋がっています。これまでは3年程度で転職をしていましたが、ここでは長く働き続けられています。それは、入居者さんにずっと寄り添えることができるからだと思います。最近、嬉しかったことは、入浴介助した入居者さんから「あなた、一番上手ね。」と言って頂けたことです。人生で「一番」と言われたのは初めてだったのでとても嬉しい言葉でした。入浴介助では、転倒に気を遣うので、体力も使います。精神的、体力的にもしんどい時もありますが「ありがとう」と言われることが多いので、本当にやりがいのある毎日です。